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ピッキングとは?空き巣の手法や防ぐ方法を解説

防犯対策

「ピッキング」という言葉を知っていますか?鍵を使わず解錠する技術のことで、音を立てることなく静かに作業することができ、少しコツを覚えてしまえば案外簡単に解錠をおこなうことができてしまうのです。

トラブル解決に便利な技術ですが、この技術は犯罪にも使われてしまっています。犯罪者が住宅に不法に入り込むために利用しており、これらを防ぐためにはその技術を理解して対策する必要があります。

本記事では、ピッキングの概要や技術が利用されるケース、トラブルを防ぐ方法、防犯性の高い鍵について解説します。

ピッキングとは

専門的な業務に携わっている人であれば聴いたことがある人は多いかもしれませんが、「言葉は知っているけれど、説明は難しい」と思われる方は多いかもしれません。まずは概要を解説します。

特別な工具で鍵を使わず解錠する技術

ピッキングとは、鍵を使わず解錠する技術のことです。特別な工具を用いることで、合い鍵を使わず、扉を壊すこともなく解錠をおこなうことができます。本来は、鍵を紛失した時に鍵が無くても開けられるように、鍵の業者などがトラブル解決のために使う技術なのですが、その技術がどんどん広まっていくことで不法侵入などの犯罪にも使われるようになってしまいました。専門的な知識と高度な技術が必要と思われがちですが、特別な工具を使えば案外難しい技術ではありません。もちろんこの技術を犯罪に利用する目的で使ってはいけませんが、素人がこの技術を使うこともそれほど難しいことではないのです。

ピッキングの仕組み

ピッキングを行うには、「ピック」と「テンション」という道具を利用します。まずテンションを鍵穴に差し込み、鍵を開ける方向に少しだけ力を入れた状態にします。回転力をかけた状態になっているので、その状態でテンションを固定したら、ピックの先を入れ、シリンダー内部のピンを持ち上げた状態にします。手持ち鍵の片側だけに鍵山があれば、刺したときに鍵山が向く1方向だけをピックでいじります。鍵山が上下どちらにもある場合は、鍵穴内部の上と下をピックで擦るようにいじりましょう。

ピンが正しい高さまで持ち上がった状態になると、トップピン・ボトムピンといった内部のピンがそれぞれ収まる形となるため、障害物がなくなって回転することで解錠が可能となります。

一般人のピッキング道具の所持は法律で禁止

ピッキングは、鍵を紛失した時に鍵開けができるように、業者などがトラブル解決のために使う技術なのですが、その技術がどんどん広まっていくことで犯罪にも使われるようになってしまいました。そのため、一般人のピッキング道具の所持は法律で禁止されており、警察が主体となって基準を定めた「特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律」が2003年に制定されました。通称「ピッキング禁止法」と呼ばれる法律で、鍵を開ける道具についての所持制限を明確に定めています。業者が使う専用の道具はもちろん、解錠に利用できうる一般的な工具に関しても、この法律によって所持が制限されるようになりました。

「ピッキング禁止法」という名前を聞くと「行ってはいけないのか」と勘違いしがちですが、これはピッキングという鍵開け行為自体を規制するものではありません。鍵屋の業務などをおこなっている人間以外が、正当な理由なしにこの法律に抵触する道具を持っていると、「1年以下の懲役」もしくは「50万円以下の罰金」を科せられてしまうといったものです。

ピッキングが利用されるケース

鍵を使わず解錠する技術であるピッキングは、慣れた人だとものの数分で解錠をおこなうことが可能となってしまいます。ここからは、どのような場面でその技術が使われているのか解説します。

鍵屋が顧客のトラブル解決をするために利用する

ピッキングは鍵のトラブルに対処できる技術なので、鍵屋が顧客のトラブル解決のために利用しています。鍵を紛失した時や壊れてしまった時などに、鍵が無くても鍵開けをおこないます。この鍵開けには、前述した「ピック」と「テンション」といったような特別な道具が用いられ、鍵を壊すことなく解錠することが可能です。そのため、引き続き同じ鍵を使うことも可能となっています。

空き巣などが侵入するために利用する

業者がトラブル解決のために使う技術ですが、その技術は犯罪にも使われるようになってしまいました。住宅などの建物に不法侵入する際にその技術が使われています。専門的な知識と高度な技術が必要と思われがちですが、専用の工具を使えば案外難しい技術ではありません。そのため、素人でも練習すればできるようになり、音を立てることなく静かに作業することができてしまうため、犯罪者からすると「便利な方法」として利用されてしまっています。このような犯罪を防ぐため、一般人のピッキング道具の所持は法律で禁止されており、鍵を開ける道具についての所持制限を明確に定めています。

ピッキング以外にもある不正解錠

不法侵入をおこなう犯罪者は、ピッキングに限らず様々な方法で不法に侵入をおこなおうとします。ここからは、不正解錠の方法について解説します。

  • バンピング
  • サムターン回し
  • ドリルで破壊
  • ガラス破り

バンピング

バンピングとは、「バンプキー」と呼ばれる特別な鍵をさして、ハンマーなどで叩いて衝撃を与えることで鍵を開ける方法です。簡単におこなうことができ、痕跡が残らないため被害に気付きにくく、実際に侵入されても手口を特定する事が難しい悪質な手法です。また、痕跡が残らないことから、実際には故意に開けられたものであっても「閉め忘れ」と勘違いしてしまう人も多いです。

この「バンプキー」は入手が比較的容易なため、犯罪者が犯行に利用しようとします。ただし、日本国内で使用されている鍵メーカーだけでもたくさんある上に、メーカーごとに様々な種類の鍵を開発しているため、バンプキーを用意するのが難しくなっています。そのため、日本国内では発生件数はそれほど多くありません。

サムターン回し

サムターンとはドアの内側についている、水平な形をしたつまみです。このサムターンを外から強引に回転させて、開ける方法を「サムターン回し」といいます。玄関の錠は外側からだと基本的に鍵なしでは開けられませんが、内側からは開けやすい構造になっており、このつくりの弱点をうまくついた手法です。

犯罪者がこの手法を使う際、ドアのさまざまな場所が侵入経路として使われます。例えば、以下のような場所から金属の棒や工具を室内に入れて、サムターンを強引に回す手法があります。

  • ドアの側面や上部の隙間を利用
  • ドア近くの窓ガラスを壊す
  • ドアについている郵便受けを利用
  • ドアスコープやドアノブを壊す
  • 電動ドリルでドアに穴をあける

対策としては、サムターン回しを防ぐ「サムターンカバー」を取り付ける事が有効です。カバーはプラスチックやアクリル材質でできており、サムターンの周りを覆うカバーです。器具を作った隙間から突っ込んでもカバーによってガードされるため、うまく回すことができなくなります。市販で売られているので、簡単に手に入れることができるのでおすすめです。

ドリルで破壊

非常に強引ですが、ドリルで破壊して開錠する方法もあります。シリンダーを物理的に壊して開けることから「破壊開錠」とも言います。細めのドリルで錠ピンを破壊し、サムターンを簡単に回るようにして開くようにします。原理がわかれば簡単におこなうことができる作業ではありますが、ドリルの大きな音が発生するため、不法侵入などの犯行にはあまり使われることはないでしょう。

ガラス破り

ガラス破りは玄関からの侵入方法ではないですが、窓ガラスの鍵付近を割ったり、穴を開けて窓の鍵を開けて侵入をしたりする手法です。硬いものや工具で叩いて窓ガラスを破る「打ち破り」や、とがった工具で鍵付近のガラスに穴をあけてガラスを破る「こじ破り」などの手口を使ってガラスを破ります。ガラス破りは、戸建てや3階建て以下のマンションやアパートで多い手口となっており、日頃から閉めたままである窓は狙われやすいと言われています。

ピッキングを防ぐ3つの方法

特別な工具があれば案外難しい技術ではなく、空き巣などにも使われてしまっていますが、犯罪から身を守るためにはどうすればいいのでしょうか。ここからは、ピッキングを防ぐ3つの方法について解説します。

防犯性の高い鍵に交換

効果が高い方法としては、やはり防犯性の高い鍵をに交換することです。空き巣などは、迅速に犯行をおこなうことを考えているため、侵入に時間がかかりすぎる恐れのある家を選ばない傾向にあります。時間がかかってしまうと、人に見られてしまう可能性や、通報されて捕まる可能性が高くなってしまうためです。

現在賃貸住宅に住んでいる人は、借主が勝手に鍵を変えることは禁止されています。きちんと大家さんや管理会社に交換の依頼をする必要があります。持ち家であれば自分でも鍵の交換をおこなってもいいですが、交換作業は知識や技術が必要となるため、慣れていない人にとっては難しく感じるでしょう。失敗のリスクを極力減らしたい人は、鍵の業者に依頼することをおすすめします。業者であれば、適切な鍵の提案や説明などもおこなってくれるでしょう。

二重鍵を設置する

二重鍵とは、玄関扉に2つ鍵をかけることです。「ワンドアツーロック」といった言葉があるように、2つ以上の鍵をかけるのが効果が高いといわれています。前述したように、空き巣などは侵入に時間がかかりすぎる恐れのある家を選ばない傾向にあります。玄関に鍵が2個付いていれば時間がかかってしまうと見ただけで分かり、抑止力になるでしょう。

扉自体をリフォームして2ヵ所鍵がついたものにするか、後から補助錠を追加で取りつけることで設置可能です。こちらも業者に依頼することで簡単におこなうことができるので、検討してみましょう。

防犯設備を設置する

防犯カメラやセンサー、センサーライトなどの防犯設備を設置するのもおすすめです。防犯カメラの設置を設置することで、空き巣などの心理は「録画される危険があるからやめておこう」となり、非常に高い抑止力になります。また、防犯センサーは、玄関扉や窓などに取りつける防犯グッズです。スイッチをオンにしておくと、外から鍵が開けられて扉が空いたり、強引に扉を揺らしたりすると、ブザーが鳴って異常を知らせてくれます。大きな音が鳴ることで侵入をあきらめさせることができるでしょう。

おすすめの防犯性の高い鍵

防犯性の高い鍵への交換は効果が高いですが、実際にどのようなものへ交換するのがいいのでしょうか。様々な種類がありますが、ここからはおすすめの防犯性の高い鍵について解説します。

  • ディンプルキー
  • 電子錠

ディンプルキー

代表的なのがディンプルキーです。一般的な鍵は穴に差し込む部分がギザギザになっており、溝とギザギザがしっかり組み合わさったときに鍵穴を回せる仕組みとなっています。それに対してディンプルキーは表面が微妙にくぼんでおり、差し込んだ後くぼみとピンが組み合わさることで鍵穴を回せるようになります。くぼみは深さや大きさが様々で、かなり複雑な構造になっているため防犯性が高くなっているのです。鍵穴に差し込む際向きを気にしなくていいリバーシブルタイプが多いため、操作性にも優れています。ディンプルキーであってもピッキングが不可能なわけではないですが、解錠にはかなりの時間がかかってしまいます。前述しているように、空き巣などは侵入に時間がかかりすぎる恐れのある家を選ばない傾向にあります。設置しているだけで高い抑止力となるでしょう。

電子錠

電子錠は、電池から電力を供給して鍵を開け閉めするタイプの機器です。電力の供給のための配線工事や取り付けの際の工事を必要としないため、簡単に取り付けることが可能となっています。テンキー式や非接触式、カード式など種類やバリエーションも豊富となっており、鍵を持ち歩く必要がないため紛失の不安を軽減することができます。

まとめ

本記事では、ピッキングの概要や技術が利用されるケース、防ぐ方法、防犯性の高い鍵について解説しました。ピッキング対策は、侵入窃盗を防ぐために効果的な手段です。もしも、現状の鍵に不安を感じるようであれば、専門業者に相談し防犯性の高い鍵に交換することが大事です。

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